2020.1.13.「古今亭菊志んの会」あれこれ
この時期になると、想い出す人がいます。古くからの落語好きの方ならご存じかと思いますが、桑爺こと桑原洋之助さんのことです。毎日のように寄席の客席にいて、鈴本演芸場なら上手の前から二列目の席で、笑顔で高座に耳を傾けている。それでいてうるさいことは一切言わない(ちょっとは言ってたけどw)。人生の大先輩としても教えていただくことが沢山あった。その桑原さんが「謝落祭」の前身である「圓朝まつり」@全生庵のクイズ大会で、黒門亭の席亭になれる権利を獲得したことがあった。桑原さんが早速選んだ演者が、当時の名前で言う、柳家三太楼、古今亭菊朗、柳亭こみちの三人で、開催当日、落語協会2階の客席は桑原ファンと落語ファンであふれかえったのを覚えている。
その打ち上げの席で、親しくなったのが古今亭菊朗。現・古今亭菊志ん師匠だった。会で演じたのは『時そば』で、マニアックな客を相手に色々なクスグリを入れて、面白おかしく聞かせてくれた感想を述べたのを覚えている。そして同い年と言うこともあって、それから交流が始まり、数年前からは圓朝作品の連続物の会であったり、墨亭のこけら落とし公演にもご登場いただいた。
私のこんな性格(どんな性格?)からして、菊志ん師には甘え切っている。その高座に触れたことのある人なら分かるだろうが、どんなシチュエーションでも「聴かせてくれる」落語を演じてくれるし、満足度の高い、安心してオススメできる落語家さんであり、甘えられる落語家さんなのだ。
そんな菊志ん師が久々に墨亭で独演会を開いてくれた。いざ、告知をはじめると、すぐに満員御礼を迎えてしまい、予約を断るという状況となった。そこで急遽相談して、「菊志んおかわり!」と題した夜の部も開催することになった。
すると、それが決まった頃に、某民放局より連絡があって、向島と墨亭の取材を取り上げたミニ枠番組を作りたいということで、高座の収録もあって、墨亭の雰囲気がわかる絵が欲しいということになり、相手がテレビ局となれば、きっと無理を言ってくるに違いないと考え、スケジュール的にも、あれこれ的にも、古今亭菊志ん師にお願いすればきっと大丈夫だ!と相談してみたところ、OKの返事を頂戴した。
結果として、菊志ん師には手間暇ご苦労をお掛けしてしまった。高座を収録したいと言っても、墨亭の狭さであると、落語会を聴きに来ている人の集中力をそぐことになってしまう。そこで落語会の本番前、つまり開演前に、一席、番外編で演じてもらうことになった。それで幕を閉めて(墨亭に幕はないけれど)、落語会の本番へ。そこでは三席たっぷり。
ところが、捨てカットが欲しいからと、昼の部と夜の部の入れ替え時間に、会場にお残りいただいた方を前に、また一席演じてもらうことになった。そして、夜の部の「おかわり」へ。
更に、ところが!である。当初「おかわり」では2席の予定が、「せっかく来てもらったお客さんに悪いから」と3席。
結局、墨亭で1日8席演じた次第。それにお付き合いいただいた2名様もお疲れ様でしたw。
打ち上げでのビールが美味しかったのは言うに及ばず。菊志ん落語の「凄さ」を感じた1日でした。お出でいただいたみなさまに感謝。そして、菊志ん師にも感謝!
テレビの放映は2月中旬の予定。詳細は改めます。(雅)
「古今亭菊志んの会」(昼の部)
雑俳(りん廻し)、初天神、蛙茶番、(中入り)、ねずみ穴
「古今亭菊志んの会 おかわり!(←大声で)」(夜の部)
へっつい幽霊、野ざらし、(中入り)、御慶
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