2020.02.08.「神田春陽連続講談の会」
ますます講談の魅力、物語の深み、連続物の醍醐味を感じられるようになってきた、神田春陽先生による『徳川天一坊』連続読みの会です。
当日のパンフレットより、一部引用をして紹介します(一部追加、改訂)。
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神田春陽先生による連続講談『徳川天一坊』は、講談全集等では更に大きく『大岡政談』に括られています。
その主役である大岡越前と言えば、講談ばかりでなく、落語にも登場する人物であり、他にも政談を扱った話がある中、「政談物」と言うと、やはり真っ先に思い出すのは大岡越前守こと、大岡忠相のことではないでしょうか。
「越前守」というのは官名であり、他にも越前守を与えられた人物はいるのですが、これまた越前守と言えば大岡忠相。
講談のマクラにも使われる「祖師は日蓮に奪われ、大師は弘法に奪われ、太閤は秀吉に奪われ…」という言葉をもらうと、「越前は忠相に奪われ」、更に「政談物は越前に奪われ」といった感があります。
では、今回のシリーズの主人公は?と問われれば、やはり徳川天一坊こと、天一坊改行。徳川の天下において知恵を働かせて悪行を積み重ねる……。映画や舞台、時代劇でもそうですが、そうした悪者の姿にスポットが当てられ、それがどういう結末を迎えていくのか。そこにこそドラマ性は表われる訳で、この話で言えば、その行方と展開の大きな鍵を握るヒーローが大岡越前であり、悪役というより裏ヒーローが天一坊でないでしょうか。そう考えると、大岡越前からヒーローの座を奪おうとしている天一坊は、やっぱり悪い奴です(笑)。
そして、場面による二人のヒーローの入れ替えが長い話を生かしており、それがまた『徳川天一坊』の魅力の一つを引き出していると言えるでしょう。それでは今回のヒーローは果たしてどちらなのか。物語の中でヒーローが「悪」に転じ、裏ヒーローの姿が魅力に感じられることもあるだけに、そればかりは聴いてみなければ分かりません。
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当日は、神田春陽「徳川天一坊・その11『閉門御免』」(中入り)『め組の喧嘩』の2題。世間では「神田」と言うと「伯山」という名が返ってきそうですが、「春陽」もますます春の陽を前に輝きを放っているので、一度、墨亭へお訪ね下さい。
次回『徳川天一坊・11』は3月7日(土)です。連続物とは言え、途中参戦でも大丈夫です!お待ち申し上げております。(雅)
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