2020.07.22.「第3回三遊亭金朝の会」

 墨亭では3回目を迎える三遊亭金朝師匠の会。

 金朝師匠と墨亭との関係は、以前のご報告をお読みいただくとして、とにかく、私が大好きな落語家さんの一人なのであります。

 夜席は今、どこも入りが薄いと言われていますが、墨亭は少数精鋭www。静かな夏の夜に、派手やかな『五目講釈』としっとりと『藪入り』の二席を披露してくれました。

 一席目の『五目講釈』は損な噺と言えるかも知れません。前半の若旦那の居候の件は『湯屋番』の方が、後半の講釈の部分は中身が『鮫講釈』と同様ということもあり、そちらの方が儲かるからと、演じる落語家さんがあまり多くない噺と言えます。金朝師匠の若旦那は、落語でよく見られる居候の了見たっぷり。それも自分の好きなことをやっていたい!という了見がまた全開であるところが面白く、周囲の人がそんな若旦那のやることなすことに巻き込まれていく様子に滑稽さがたっぷり。聴かせどころと言える講釈は、それこそ五目講釈で、今風に言えば「講釈チャンチャカチャン」。一体、何席入っているのかなあと脇で数えていたのですが、そんなことより、どんな風につながっていくのだろうと、途中からはそちらにシフトチェンジ。金朝流若旦那の煙に巻かれてしまいました。ちなみに金朝師は師匠の三遊亭小金馬に稽古をつけてもらったとのこと。

 中入りを挟んでの二席目は『藪入り』。三代目三遊亭金馬がこしらえ直した噺とされ、その貴重な高座映像も残っている一席です。可愛い子だからこそ、厳しい旅に出させた父親の了見。子供のいない私には子を持つ父親の気持ちは想像でしか分かりませんが、三年ぶりに帰ってくる子供を待つ父親の抑えきれなくも、男だからとこらえて見せる。でも、その嬉しさがにじみ出てくる。そんな様子が具に分かる、あくまでも父親目線での一席でした。この噺の面白さは、演者とともに深みが出てくるところ。金朝師がこれから落語家として年を経ていった時に、どんな『藪入り』の世界を目の前に描き出してくれるのか。そんなことをも感じさせる一席でした。

 落語家の持つ、落語に対する了見。三遊亭金朝という落語家の高座を前にして、今回感じたことです。次回は9月?10月? お時間がありましたら、三遊亭金朝の会にお越し下さい!(雅)

※写真は墨亭FaceBookより流用

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